褒めるって難しい
保育士になる前は、主にパソコン相手に仕事をしていました。
AといえばBになる、CといえばDになる。
決められた規則通りに操作していけば、必ず結果は同じでした。
まぁ、途中で間違えたとしてもトライ&エラーでまたやり直せばいいんです。
でも、保育士になるとそうはいきません。
相手は人間。
しかもまだ幼い子供です。
保育士が言った一言が、自分の期待した結果とはことなる事態を引き起こし、結果として子供を大きく傷つけることもあります。
「全部食べたんだね!毎日全部たべる〇〇君はすごいね!えらいぞ!」
給食を毎日すべて食べていた男の子を、毎日褒めていました。
するとある日、男の子が大嫌いなバナナがおやつに出ました。
彼は目に涙を浮かべて、吐きそうになりながら、バナナを必死に食べていました。
「どうしても食べられないものは、無理しないでごちそう様していんだよ。」
そう声掛けしましたが、彼は「食べられる」と言い張りました。
お友達がごちそう様した後も、彼はひとり食べ続けていました。
そこでもう一度「もうごちそう様にしようか?」と声をかけると・・・。
彼は今まで見たことが無いほどワンワン泣き出しました。
とってもとっても頑張って、先生に褒められる自分になろうとしてたんです。
それができなかったことが、きっととても悲しかったのだと思います。
それができない自分は、先生から好かれないとすら思ってしまったのかもしれません。
こういうことはよくあります。
沢山褒めると、その反動でできなかった時のショックが大きいのです。
褒める育児をしましょう、なんて最近はよく言いますが、実は褒めるのって叱ること以上に難しい点もあるんです。
「いいこってどんなこ」という本があります。
小ウサギのバニーが「いい子って〇〇する子?」っとお母さんに聞きます。
するとお母さんは「今のままのバニーが大好き」って答えるんです。
〇〇できるのはすごいねって伝えるには、大前提として、ありのままのあなたも大好きっていう気持ちが伝わっている必要があると思います。
例えば・・・「泣かないで偉かったね(たとえ泣いてもあなたが大好きよ)」。
言葉にしない( )の部分が、子供に伝わっているかどうかはとても大切な点です。
そんな深い絆は数日で得られるものではなく、日々接していく中で、ゆっくりと徐々に深くなっていくものだと思います。
過剰に叱らず過剰に褒めないバランス感覚を持ち、
ありのままを受け入れる包容力を後ろ盾にした厳しさを持つ。
そんな保育士になりたいな・・・と思う今日この頃です。
保育って、本当に難しいです。